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円高トレンドへの転換か!?重要イベントが試金石

2024年7月30日

市場調査室 室長 チーフアナリスト

溝上孝

 

 筆者は7月16日に本ブログで年後半のドル円相場見通しとしてドル円は下がっても155円までと予想した(今年後半のドル円相場見通し – 株式会社B.C.Aマネージメント (bca-m.co.jp)。ところが7月24日にドル円は155円を下抜け、翌25日には一時152円を割り込み円が急騰、ユーロ円、ポンド円、豪ドル円などのクロス円も軒並み大幅安となり円独歩高の様相を呈した相場展開となった。

 

 今回、円高に大きく振れたのは日米要人からの円安(ドル高)を懸念する発言がトリガーとなり市場に蓄積された円ショートポジションの大規模な巻き戻しが発生したからである。事実、米商品先物取引委員会(CFTC)が毎週まとめているシカゴ通貨先物市場の建玉(IMM通貨先物ポジション)報告によると7月23日のNonComm Position(ファンド)の円売り越し額はピーク時(7月2日)時点から42%の大幅減、3月12日(当時ドル円147円60銭)以来の低水準となっている。

 筆者がドル円の下限予想を外したのは日米金利差とドル円相場の正の相関に変化が生じつつあるのではないかという思いがあり、予想を立てるにあたってドル高円安方向へのバイアスが強めにかかってしまったことであったと反省している。今月初め161円台後半にあった時の相関の乖離は修正されており、明日(7月31日)に結果が判明する日米金融政策の行方次第ではここ数日153~154円で膠着状態にある相場に再び動意が出ることが予想される。政策金利の変更は日米ともに9月まで先送りされる可能性大と予想するが、日銀の国債買い入れ減額に関する具体策、展望レポートの内容、植田日銀総裁の記者会見、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長会見、さらに週末発表される7月の米雇用統計等、今週はイベントが目白押しだ。また先週は日米株安により円高の勢いが加速したこともあり、米株式市場の動向、特に主要ハイテク株決算(マイクロソフト、メタ、アップル、アマゾン)の内容次第でリスクオフムードが払拭されるかを注視したい。筆者は長期的スパンでのドル高円安トレンドの終焉という考え方には依然として懐疑的であり、これらイベントを消化した後にはボラティリティ低下による円キャリートレードが再び勢いを増すのではないかと予想している。ドル円日足チャートによれば200日移動平均線(151円60銭)が年初来ドル円の重要なサポートとなっており今円高局面での下値目途としたい。

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