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バイデン氏大統領選撤退!金融マーケットへの影響は?

2024年7月23日

市場調査室 室長 チーフアナリスト

溝上孝

 

 7月21日にバイデン氏が大統領選から撤退することを表明したことで11月5日に行われる大統領選が面白くなってきた。現職大統領が再選出馬を断念するのは1968年に出馬を見送った民主党のジョンソン氏以来ということになる(ちなみに筆者は1962年生まれで当時小学校1年生だったがこれについての記憶は一切無く記憶に残る一番古い大統領選は1976年のカーター氏 vsフォード氏である)。

 先月27日のバイデン氏vsトランプ氏のテレビ討論会でバイデン氏が失態を晒してから劇的なイベントが相次ぎ、情勢はトランプ氏再選へと急速に傾きつつあった。すなわち、7月1日 米最高裁が「大統領免責特権」に関する判断を延期、7月13日 トランプ氏に対する暗殺未遂事件 奇跡の写真が話題に、7月15日共和党大会において副大統領候補として史上最年少39歳のバンス上院議員が指名される、である。

 金融市場もトランプ氏の発言が俄然注目を浴びるようになり、株式市場ではトランプ・トレードなる言葉も聞かれるようになった。このような状況においてのバイデン氏の撤退及びハリス副大統領を後継者として推薦である。後期高齢者(81歳vs78歳)同士の選挙という白けたムードの中、バイデン氏よりも22歳若く女性・黒人・アジア系の候補者が登場したことで状況が一変することになるのではないか。トランプ陣営も戦略を急遽立て直し始めていることだろう。もちろんハリス氏は7月23日時点では未だ副大統領候補であり、8月19~22日にイリノイ州シカゴで開催される民主党全国大会での正式な指名を受ける必要がある。また彼女はこれまで副大統領としての実績で目立ったものが見られず、人気もイマイチと言われている。狙撃を受けてカリスマ化しているトランプ氏に対抗できるのかという疑念は当然あろう。それでも民主党の置かれた立場は1週間前とは様変わりしていると言えよう。大統領選挙まで残り3カ月半である。2024年選挙イヤーのラスボスに相応しい盛り上がりが期待出来るのではないか。もっとも9月我が国、自民党の総裁選がある。こちらも忘れてはいけない。

 最後にマーケットの見方について付言したい。日米の政局如何で市場のボラティリティが今後高まることは避けられないであろう。またトランプ氏の発言に一喜一憂して為替・金利・株は激しく上下するのかも知れない。しかしながらこんな時だからこそファンダメンタルズ重視、日々発表される世界の経済指標をクールに分析していくことが要求されるのではないか。