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「高市トレード」、「石破ショック」とは何だったのか?

2024年10月1日

市場調査室 室長 チーフアナリスト

溝上孝

 9月27日に自民党総裁選決選投票で石破茂氏が高市早苗氏を215票対194票と21票差で勝利し、10月1日に衆院本会議の首相指名選挙で第102代日本国首相に選出されることになった。金融市場は高市氏の勝利を見込み、いわゆる「高市トレード」により、日経平均は9月26日、27日両日で2,000円近く上昇、またドル円相場は9月27日に直近の高値を大きく上回る146円50銭付近まで上昇していた。ところが蓋を開けてみれば石破氏の勝利となり、「高市トレード」の巻き戻しが起こり、東京市場引け後の大阪取引所で日経平均先物は9月27日の東京市場終値から2,300円超の大幅安となった。ドル円は週明け9月30日に安値141円台後半まで下落、27日高値から5円近く下落した。市場ではこの株安・円高を「石破ショック」と呼んでいる。

 思うに市場参加者は高市氏に何を期待していたのだろうか。「高市トレード」とは同氏が安倍首相の後継者であると自ら名乗っていることから、アベノミクスの再来を期した株高・円安の流れに「Bet」するということだったのか。高市氏の「利上げを行うのはアホやと思う」との発言が取り沙汰されていたが、日銀は金融緩和路線に回帰すべきと本気で思っていたのだろうか。本稿執筆時点の日経平均は前日比700円超の3万8,600円台で推移しており、これは「高市トレード」が始まる前の水準とほぼ等しい。ドル円は144円台前半まで戻してきている。そういう意味で市場は「高市トレード」も「石破ショック」もあまり意味はなかったということになりつつあるようである。海外市場でもこの総裁選前後の日本市場の狂騒はほとんど意に介していないようなのは明らかで、その証拠にNYダウは史上最高値を連日更新している。

 いま市場での関心が一番高いのはアメリカ景気が深刻な景気後退に陥らずにソフトランディング出来るのかということであって日本の総理大臣が誰になったかなどというのは海外では株価の材料にはならないのである。石破氏は経済・財政政策については岸田路線を引き継ぐことを表明している。金融所得課税に市場は戦々恐々しているようであるが、これについては1億円の壁と言われる富裕層を念頭に置いたものであり、NISA(少額投資非課税制度)やIDECO(個人型確定拠出年金)は対象外と言明しており、資産運用立国の機運に水をさすような政策を打ち出すことは無いであろう。

 

 

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