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日銀の真意を読み解く、次回利上げはいつ

2024年6月4日

市場調査室 室長 チーフアナリスト

溝上孝

 日銀は今年3月にマイナス金利の解除を行い「伝統的金融政策」に移行したが、次回利上げはいつ行われるのかということが市場での関心を呼んでいる。折しも10年国債利回りは5月30日に一時1.1%と2011年以来、13年ぶりの水準まで上昇、円安地合いを背景に早期利上げ観測も一部では浮上している。もっとも筆者は次回6月13-14日の金融政策決定会合では政策金利の引き上げは見送られると予想する。理由は前回4月25-26日の決定会合以降急速に進行した長期金利の上昇(20.8bp)及び円安(対ドルで4円56銭)がここにきて調整局面入りしたと見られ、利上げを急ぐ必然性が乏しくなっているからだ。ただし、日銀の内田真一副総裁は5月27日、本店で開かれた「国際コンファランス」の基調講演で「過去25年間の金融政策運営におけるデフレとゼロ金利制約との闘いの終焉が視野に入った」と述べている。ゼロ金利制約とは政策金利がゼロ近辺にあった場合には金利引き下げによる景気刺激策が封じられてしまうことを意味する。逆に言えばゼロ金利制約の軛から逃れることが出来るとは利上げが可能になる世の中が到来したと解釈可能であり、利上げの方向性がより明確になったということを意味する。ちなみに内田氏は黒田前総裁の下で企画担当理事として非伝統的な金融政策の制度設計及び具体的なプロデュースを担ってきたキーマンであり、マイナス金利解除直前の今年2月にも解除後の金融政策運営について言及していたという経緯もあることから、筆者は先の彼の発言は市場への重要なシグナルだと思っている。

 日銀は今月から実施される定額減税の効果、及び今春闘で決定した賃上げの給与への反映状況をある程度見極めてから行動を起こすのではないか。よって厚生労働省が発表する毎月勤労統計調査の6月分結果発表後の8月30-31日の金融政策決定会合をもって無担O/Nコールレートを現在の0~0.1%から0.25%に引き上げるのが基本シナリオと筆者は見ている。