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先進7か国中、突出する日本の債務残高(対GDP比)

2024年5月14日

市場調査室 室長 チーフアナリスト

溝上孝

 

 財務省によれば我が国の「国及び地方の長期債務残高(2023年3月末)」は1,285兆円あり、国内総生産(GDP)に対する比率は215%。また、国際通貨基金(IMF)が公表した「World Economic Outlook Database, April 2024」の国際比較によれば、2023年の社会保障基金を加えた一般政府ベースの債務残高対GDP比率は254.6%であり、図表1の通りG7の中では突出した比率となっている。

 これを以て日本の財政は遠からず破綻し、大幅な債券安(長期金利上昇)・株安・円安のトリプル安に見舞われるという論調が一部マスコミで散見される。一方で我が国の債務はその殆どが国内の資金で賄われており、日本銀行がお札を刷りまくることで資金を補填できるので全く問題ないという論調もある。無論どちらの考え方も両極端で問題の本質を正確に捉えているとは言い難い。

  まず国には債権もある。日本銀行の公表した資金循環統計速報(2023年12月末)によれば我が国の総債権は821兆円、総債務は1,442兆円、一般政府の純債務は621兆円(1442兆円-821兆円)になる。従って純債務の対GDP比率は103.8%となる。注目すべきなのは、2020年以降この比率が大幅に改善傾向にあることだ。尚、2020年の純債務の対GDP比率は128.5%だった。

 その理由は、1.公的年金運用のリターンアップ及びキャピタルゲイン、2.政府外貨準備(1.2兆ドル)の為替評価益、3.デフレ脱却で名目GDPの拡大と税収増である。また日本経済は1990年台後半からデフレ経済に突入、名目GDPの伸びが著しく低下したことで債務の対GDP比率が他国比相対的に高くなるのは至極当然である。 

 今後日本経済がデフレから本格的に脱却し、日本銀行が言うところの賃金と物価の好循環により安定的な成長が実現していくのであれば、一般政府の純債務の対GDP比率は徐々に低下していくのではないだろうか。とは言え野放図な財政支出は厳に慎まなければいけないし、また足元では24カ月連続で実質賃金が前月比マイナスとなり、4月の景気ウォッチャー調査の結果も振るわず、日本経済の先行きは予断を許さず、正に正念場と言えよう。極端な悲観論と楽観論に惑わされず、リアリストの目で日本経済を見つめていかねばならないだろう。