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日経平均の史上最高値について

202419

市場調査室 室長  チーフアナリスト

溝上孝

 

今年の日経平均の高値の予想が各エコノミストから出揃っている。14日に放送されたテレビ東京のモーニングサテライトによると担当エコノミスト39人のうち、高値予想は、35,00038,000円が27(69%)39,000円~40,000円が5(13%)40,000円以上が3(8%)となっている。

強気の予想が多いのは、3つの期待、すなわち昨年からの日本株上昇トレンドが継続する、米国景気がソフトランディングする、日本のデフレ脱却が本格化する、がその根拠であろう。

ところで19891229日の史上最高値38,91587銭を2割以上のエコノミストが超えることを予想している。

筆者は日経平均が史上最高値を超えることには象徴的な意味合いはあるかもしれないがそれ以上のものではないと思っている。

確かに主要先進国の中で唯一、日本株はこの30年高値を更新できなかったが、1989年末の日本株の平均PER60倍超ととてつもなく割高であり、この38,915円は異常値であった。現在の株価を34年前の異常値と比較してもあまり意味はないであろう。

株価バブルの調整は2000年代前半には終焉し、その後の株価は企業の売上高経常利益率、ひいてはROEの向上に沿い上昇を続けている。特に2012年後半以降の日本株の上昇率は米株に比べても遜色はない。この点はもっと注目されても良いのではないだろうか。

またあのような異常値が現実のものとなった理由をエコノミストの視点からもう一度しっかりと検証する必要があると思う。